ハピ森物語 プロローグ

タクミ「これ、どういうことか説明してくれる?」

わたしの目の前に書類の山をドサッと下ろし、冷たい目を細める上司タクミ。

わたしは無言のままその書類を手に取り、軽く目を通した。

それらはすべてわたしがホームデザイナーとして過去担当した300を超える案件に対するクレームの文書だった。

出勤早々ケバいピンクカワウソ上司に呼びつけられたわけがやっとわかった。

 

値踏みするようにわたしを睨めつけたままの上司をじっと見つめ返した。

タクミ「なにか言うことはないの?」

表情ひとつ変えずに首を横に振るわたしに上司の怒りのボルテージは上がったようだった。

タクミ「あなたのせいで我が社の評判は最悪よ!どうしてくれるの!」

 

途中で同僚のケントが出勤してきてコロッと態度を変えるまで、彼女は延々怒鳴りつけてきたが、わたしは気にならなかった。

クレームの通り、わたしは確かに雑な仕事をした。

つまり、依頼人の持ち込み家具のみを配置するだけで完了としてきた。

しかしそれは目的あってのことである。

http://www.suzunone.work/entry/2018/03/15/170343

 

だいたい、毎日営業に出てはさっさと帰社するわたしに「仕事が早い」「優秀な新人」などと褒めちぎっていたタクミ自身にも非があるだろう。

初めの案件から丸投げし、あれほど大量のクレームが来るまで実態に気づかずにおくなんて、ただの監督不行届ではないか。

わたしの仕事ぶりを見に来たこともなければ、仕事を取りに行っている様子も、クライアントとやり取りしている様子すらない。

「どういうことか説明してくれる?」はこっちのセリフである。

毎日毎日だらだらとパソコンを打っているようだが、まさかケントへのポエムでもしたためているのだろうか。

 

ともかくこの突貫工事が全333件のリフォーム契約に繋がったのだから、激怒するよりむしろ感謝して然るべきであろう。

すべてわたしの狙い通り。

 

人間の力、見せてくれる。

 

わたしは早速1軒目へ向かった。